たまに、こういう人が居ます。

「過ぎた事は過ぎた事、もう、くよくよしたってしょうがないし、
これからの人生を前向きに考えよう」と。

なるほど、人間は過去の或る時点に戻って、既に過ぎ去ってしまった実際の事象そのものをやり直す事は出来無い。
だから、前述したタイプの人は、「過ぎた事は考えずに、これからの生き方を考える」と云う事なのだと思う。

それはそれで良いのであろうが、中には、何度でも同じ事を繰り返す人も居る。
実際の事象は異なるものの、原点に於いての原因が同じような事を、である。

その度に「過ぎ去った事を振り返っても仕方ない。前向き前向き!」と思うのだろうか。

例えば失敗の原因がこれだ、あれだ、と考えて、その方法手段に原因を求め、
同じ方法手段をとらぬ事で失敗を繰り返さないようにすると云う人も居るだろう。

しかし、方法手段を変えても、結果的に良く無い結果となってしまう場合には、
どう解決をするのだろう。

本来、方法手段は、相手・時間・環境など、状況が変われば、とるべきそれは変わる、
非常に移ろいやすいものである。

方法手段だけのノウハウに固執すると、うまくいったりいかなかったりの、
当たり外れの結果となる。

現在現れている結果のその原因は、
自分や他がとった方法手段の是非に求めるのではなくて、
その方法手段をとろうとした原点であるところの自分の想い方に求めないと、
その人は永遠に当たり外れの世界から脱出出来無いと云える。

「前向きな人生」……スローガンとしては悪くない。
しかし人間に必要なのは、今、自分が何を想っているのか、
その想いの在り方は善であるのか悪であるのか、
それをチェックし、若し悪なる想い方であれば、
自分は何故そのように想うのか、
その原点を観て、修正して行く以外に無いと思う。