全抑協:5月に解散 活動32年 シベリア特措法成立で

元シベリア抑留者らでつくる全国抑留者補償協議会(全抑協)が、5月に解散することを決めた。10年6月、国が元抑留者に25万~150万円の特 別給付金を支払う「シベリア特措法」が成立したことなどを受けたもの。強制労働を課せられた人々が「奴隷のまま死ぬわけにはいかない」(平塚光雄会長)と 32年にわたって戦った歴史が幕を閉じる。

第二次大戦後、シベリアなどに抑留された日本人兵士らは約60万人で、そのうち約6万人が死亡したとされる。生存者は1956年までに帰国。だが、同年の日ソ共同宣言により、ソ連に未払い賃金を請求する道は閉ざされた。

そんな中で元抑留者は79年に全抑協を結成。日本政府に補償を求める訴訟を起こしたが、97年に敗訴が確定した。その後は立法による救済を訴え、 国による遺骨収集の推進なども定めた特措法の成立につなげた。2010年12月には幹部が菅直人首相と面談。「皆さんが劣悪な環境で過重な労働を強いられ た歴史は消せない。政府として今後も対応したい」との言葉を引き出した。

会員数が、約8万人にのぼった時期もあったが、現在は約400人で、平均年齢は約88歳。関係資料の収集などは、若手の研究者らを募って4月に発足させる「シベリア抑留者支援・記録センター」へ引き継ぐことにした。

5月23日に東京都内で理事会と「感謝のつどい」を開き、解散を正式決定する。平塚会長は「抑留の悲劇を語り継いでほしい」と話している。【栗原俊雄】

毎日新聞 2011年3月5日 12時05分(最終更新 3月5日 12時26分)