本日8月29日付の東京新聞一面に、
「日本空襲の実態 世界に発信」
「被害周期、米軍資料 ネット公開へ」

との見出しで、米国2男性の取り組みを伝えている。

こうした検証が行なわれることはとても良いことだと思う。

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太平洋戦争で空襲を受けた人の手記や、日本を爆撃した部隊の文書など、日米双方の資料をインターネットで公開する「日本空襲デジタルアーカイブ」を 設立する計画を、神奈川県在住の米国人男性らが進めている。空襲の実態を国際的に広める目的で、十一月末にも日英二カ国語のサイトを始める予定。世界中の 研究者や一般市民が無料で閲覧でき、日本の研究者らは「空襲の実態を発信するきっかけになる」と歓迎している。 (社会部・橋本誠)

計画しているのは、同県小田原市で英会話教室を経営するブレット・フィスクさん(37)と、米ニューヨーク市立大のケリー・カラカス准教授(39)。
フィスクさんは二十歳で来日し、日本人と結婚。三年前、本業の傍ら書いている小説の取材で、空襲の記録を調査。約十万人が亡くなった一九四五年三月十日の東京大空襲を知った。
早速、古書店で体験者の手記を購入。読み始めると、川に飛び込んで両親と別れた女性や、子供をかばって炎に包まれた父親のことなど、生々しい証言に眠れなくなった。
フィスクさんは「米国では原爆と同じで、戦争を終わらせるために避けられなかったという考え方で止まっている。英語圏の学者や学生は上空(爆撃機)からの情報しか知らない」と指摘。「地上の人がどんなことをされたか、基本的な知識を伝えなければ」と考え始めた。
東京大空襲・戦災資料センター(東京都江東区)を訪ね、十人ほどの体験者の手記を英訳。昨年八月、研究のため来日し「なぜ日本以外で研究がされていないのか」と思っていたカラカスさんと出会い、二人で被災地の下町を歩くうちにアーカイブを思い付いた。
アーカイブには米国立公文書館が所蔵する数千万枚を超える米軍資料から、日本を空襲した第二一爆撃機軍団の「作戦任務報告書」や「米戦略爆撃調査団報告 書」、無差別空襲を指揮したカーチス・ルメイ少将の回顧録などを収録予定。既にカラカスさんが米国立公文書館と米国議会図書館で文書を収集。作戦任務報告 書や空軍の写真、ルメイ少将の手紙など千数百枚の資料を入手した。
日本側資料は、体験者の手記や対談、被災都市の記録を収録する予定。検索機能を付け、手軽に情報にアクセスできるようにする。
フィスクさんは「鹿児島の空襲を調べる九州の中学生も、ドイツのドレスデンと大阪の空襲を比較研究するドイツの大学生も、適切な資料が手に入れられるアーカイブを目指す」と話している。
米軍資料を研究する工藤洋三・徳山工業高専教授の話 アーカイブにより、米国に行かなくても恩恵を受けられ、記録運動の助けになる。一生かかっても収集しきれない量なので、日本の研究者と連携し、優先順位を付けて進めてほしい。
(東京新聞)